第10章 コーヒー
「智も…一緒に、どうかな?」
「えっ…」
「決して、無理にとは言わない。けど、智が居てくれたら、俺…」
「雅紀…」
「智のこと、俺、すげー尊敬してる。職人として、凄いと思ってる。だから…」
雅紀が真剣な目を俺に向ける。
「一緒にやっていかないか?」
目が、眩みそうだった。
そんなプロポーズみたいなこと言われたら、うんって言いたくなるだろ…
「ば、か…何言ってんだよ…」
恥ずかしくなって顔をそらしてしまう。
「ちょっと…考えさせてくれよ…」
「うん、わかってる。考えて欲しい」
雅紀が肩をぽんと叩いた。
「即答でうん、て言われたほうが不安になるよ」
苦笑いしながらリビングに消えた。
よかった…即答しなくて…
ポリポリと頬を掻く。
まさか、雅紀にあんな風に思われているなんて…
今日はなんて良い日なんだ…
尊敬してるって…
嬉しいこと言われた。
なんだか顔がにやけてくる。
ふと、台所のガラスに写った顔をみると、相当だらしなかった。
「だめだろ…この顔…」
ぐにゃっと片手で顔を直した。
マグカップの残ったコーヒーを飲み干すと、俺もリビングへ行く。