第2章 Prologue*尽Side
そんでもって、それをただ無感動で眺めているだけの俺。
我ながら、酷い男だと思う。
(だから……こんな奴、相手にしない方が良いと思うんだけどね)
俺の恋愛事情は自分の目から見ても、他人事。
両手の数では足りないぐらい男女の付き合いは豊富だけど、本気になれたことは一度もない。
いや……正しくは、他に本気で好きな女がいるから。
「じゃあ、わたし帰るから」
「うん。バイバイ」
いつの間にやら着替え終えたらしい彼女が、ドアノブに手を掛けて出入口に立っていた。
にっこりと手を振ってやれば、当然彼女の表情はみるみる内に邪悪なものへと変貌していく。
何かを口にしようとして唇が一瞬開かれたが、結局言葉を語ることはあらず。
――バンッ!!
勢いよくドアを閉められた。
階段を下りる足音までドスドスと荒っぽい。
言葉は無くとも彼女が怒っているのは明らかだった。