第2章 Prologue*尽Side
「尽……ね、キス…しよ?」
甘えるような猫なで声。
腕に絡むようにして抱きついてくる彼女の身体は柔らかく、姉貴と同じ女であることは変わらないはずなのに。
どうして、俺は…姉貴じゃないとダメなんだ?
「……もう終わっただろ? さっさと帰りなよ」
鬱陶しいものを祓わんばかりに、冷たい態度と言葉で彼女を突き放す。
それは彼女だけでなく、今までの女に対しても同じだった。
“セックスはするけど、キスはしない”
それが彼女達に告げてきた付き合う為の絶対条件だった。
「!! そう……分かったわよ」
上半身を起こし背を向ける間際、彼女の瞳が潤む。
ベッドの布団を引き寄せながら、床に散らばった下着や制服を拾うその背中は惨め以外の何物でもない。