【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第1章 お兄ちゃんから卒業
「君さ~、もうちょっと砕けて話せねー?」
「まぁ、出会ったばかりだからな。無理に慣れてくれとは言わないさ」
「は、はぁ……」
その異様に高いテンションがついていけない原因だったりする。
まぁ、お兄ちゃんと知り合いみたいだし、悪い人じゃないんだろうけど。
「敬語止めようぜ~? ほら、折角結婚するんだし、仲良くやろう?」
「――あぁ、貴方とだったんです……だね」
もう、この人達と会話する時、敬語がデフォになってて、元の口調さえ忘れちゃったせいで、可笑しな日本語になってる。
まぁ、いいや。
「――あぁ、君はマツノファミリーのお嫁さんだから、誰とか特定してないのさ」
「へっ? 可笑しいんじゃ……」
「いやいや~、可愛くて裏切らない女の子は、兄弟皆で仲良く可愛がるもんだから」
ちょっと待てよー?
彼は、確か最初六つ子の長男って言ったよね。
って事は、後4人も居るって事?
冗談じゃない、一人でさえ大変なのに!
「えぇっ、可笑しいんじゃ……?」
「フッ、可笑しい、か。褒め言葉だ、バーン!」
「ひ、開き直ってる……!」
あぁ、もう突っ込みきれない。
「いやさぁ~、こういう世界だとさぁ、家庭内の情報ってとぉーっても大事じゃん?」
「――たしかに、それはあるけど……」
気づけば、普通にタメ口で話せるようになってた。
この人達は、よくも悪くも相手を自分のペースに引き込みやすいタイプなんだろう。
まぁ、この世界じゃ口達者な人こそ上に立つから。
「だから、誰とでも付き合えるわけじゃないんだよ~、俺ら」
「は、はぁ……」
凄いマフィアの人っていうのは薄々わかってたけど、そこまで気をはらなくちゃいけないものかなぁ?
ただ単に、デートとか気持ちを維持するのが大変なだけじゃない?
まぁ、この人達にとって私は都合がいい人間な事は理解できた。
それなら、都合のいい人間として生きよう。
だって、私は白虎組の娘。
組の歯車になることが、私の使命だから。