【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第1章 お兄ちゃんから卒業
台風のような二人に翻弄されながらも、私は窓の外を見た。
そこには、多数の手下達に掴まれて、身動きできなくなってるお兄ちゃんの姿が。
「お兄ちゃん!!」
慌てて、窓に張り付こうとするけど、残念ながら私は真ん中の席。
丁度、私と窓を遮ってるカラ松さんが邪魔をするから、遠くから見守る事しかできなかった。
「いやぁ~、すんばらしい兄弟愛だねぇ。少しくらい、俺にもわけてくれよー?」
「ブラザー、俺の愛ならいくらでもくれてやるぜ」
「お前のはいらない」
ケラケラと楽しそうに笑い合う二人は、本当に仲が良いんだろう。
私ごしに楽しげに会話を繰り広げている。
正直、挟まれるほうは辛い。
「な~、カラ松ぅ」
「ん、どうした、おそ松兄さん?」
「ちょっとよ、後で抜けださね?」
「いいぜぇ~?」
私は、そんな二人を放っといてお兄ちゃんに『お兄ちゃん、大丈夫?』とメールを送る。
すると、「なになに?」と二人が覗き込んでくる。
「お気になさらず」
見えないよう隠そうとするけど、二人は面白がって見ようとする。
ほんっとうに困るなぁ、この人達のテンション。
「へぇ~、小鳥にメール? 昔っからお兄ちゃんお兄ちゃんだったもんなぁ」
「へぇー、俺は見たことはなかったぞ」
「お会いしたことありました?」
驚いて聞き返せば、おそ松さんはニヤニヤと笑う。
「えぇ、俺のこと気になるぅ?」
しかし、違う。
お兄ちゃんを名前で呼んだことが、気になるだけ。
「いえ、兄と何か関係があるのかなって」
「ははっ! まぁ、君のことだし、そうくると思ったさ!」
「ちぇー、何だよ、カラ松のヤツー。まぁ、いいや。俺な、高校の時だけお前の兄ちゃんと同級生だったんだよ」
ってことは、この人はそれなりの地位があるってことになる。
裏組織の人間で、お坊ちゃまお嬢様学校へ行ける人間に限られてる。
それだけ、権力のある人間以外通えないから。
「兄がお世話になりました」
軽く会釈程度で頭を下げれば、肩を叩かれる。
「いやいや、今から君がお世話になるんだぜ?」
にぃっと笑うおそ松さんを見て、どう返答すべきか応えを迷ってしまう。
「はぁ、よろしくお願いします」
女慣れした男の人は、どうも苦手だ。