【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第4章 イタリア行き
ここから撃つのは簡単。
でも、撃てば場所がバレるし、外へも出られない。
見つかりやすい場所だから、早く離れないと。
そんな事を考えながら、頬をかいた瞬間、二人居たうちの一人が倒れたので、咄嗟に銃を出し、撃ちぬいた。
こっそりと外を覗こうとした時だった。
「誰だ!!」
聞き慣れた、カラ松さんの声だ。
私は、両手を上げながら外へ出ると、カラ松さんはほっとした表情で肩の力を抜いた。
「――君が無事でよかった」
「カラ松さんは大変だったみたいだね」
普通、後から来たなら隠れて殺すタイミングを伺うはず。
なのに、なんでカラ松さんに生傷が出来てるんだろう、と首を傾げる。
「君を置いてってすまなかった」
「気にしないで」
どうやら、マツノファミリーと白虎組じゃ動きが違うみたい。
単独行動できたおかげで、自分の身を守りやすくて助かったから、逆に助かったよ。
「それで、状況は?」
「片付いたぜ。今、後始末をしてる所さ。まぁ、車がパンクしたから、手下が車を持ってきてるから」
そういえば、近くに置いてあったバイクが見つからない。
こういう時の為に変えのタイヤを載せとけばいいのに。
「そっか。怪我とかは?」
「それなら、大丈夫だ。皆命に支障はない」
マツノさん、肩撃たれてたのに?
まぁ、慣れっこなのかなぁ……。
「おい、クソ松。手伝え」
「あぁ、今行く」
後をついて行けば、カラ松さんがピンクシャツの人を背負っていた。
足に銃弾を受けたらしく、歩きにくそうだ。
ナイフがあれば、弾を取り出すんだけど。
その時、その近くに居た紫シャツの人と目が合った。
紫シャツの人は、大きく目を見開き、固まってる。
「あれ、女の子が居るー」
「あぁ、彼女か? 日本から連れてきたフィアンセだ」
「――ど、どういう事だ、クソ松!!!」
いきなり、紫シャツの人はカラ松さんに掴みかかる。
そのせいで、背中に乗ってた子が悲鳴を上げた。
「止めてよ、一松兄さん!! 僕落ちちゃうから!」
「へっ? お、落ち着け、一松!!」
あれ? もしかして、私ってお呼びじゃない?
「なんで、俺じゃなくてお前なんだよ!!」
「い、い、いや、俺にも、さっぱり……」
カラ松さんは、半泣きになりながら必死に首を左右にふってる。
力関係が、見えた気がした。