【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第3章 恋された時って案外無自覚な物でして
日本人は照れ屋が多いから、そういう事はあまり言わないけど、向こうの人は違うのかな?
「美しい顔がリンゴのように色づいて、更に美しくなったな」
――嘘。
顔が赤くなってるなんて、気付きもしなかった。
嘘でしょ?
頬を触れば、確かに顔が熱いような……?
「うわ~、照れちゃって可愛いなぁ……」
「や、止めてください」
実際、照れてたし返す言葉がない。
こういう経験は少ないから、どうやって誤魔化すか術も知らない。
「フッ、もっと素直になれ」
「なぁなぁ~」
「あぁっ、もう早く持ってきて下さい!!」
こういう恥ずかしいのは苦手だから、強制的に終わらせるに限る。
店員さん達からの微笑ましい眼差しも受けて、恥ずかしすぎて死にそう。
しかも、二人は今まではそんなにべったりしてなかったのに、あの後から密着しながら座るようになってもう大変。
肩を抱かれたり、髪の毛にキスされたり、手を恋人のように絡めたり。
そのせいで、全然集中できやしない。
「あ、あの、今のままで大丈夫なんで、帰りません?」
「えー、何か一つでも選びなよー」
「そうそう。もう少し、ゆっくりしても構わないぜ?」
貴方達は構わないんだろうけど、私は構うんです。
っていうか、いくら共学で男率の高い学校に居ても、こういう事普通されないよ?
「だ、大丈夫ですよ。必要になった時買いますし」
「いいけどさぁ~、俺、タメ口がいいなぁ~?」
一応、接待してる状況だし、軽くしか言えないのが辛い。
というか、私は余程のことがない限り、あまり強く出られない。
「さぁ、全てをこの俺に委ね」
「急に緊張しちゃってる~?」
「ち、違います!」
ああああっー!!
店員さん達が、気を使って部屋から出て行こうとしてる!
3人だけにされるなんて、全く無理だ!!
こ、こういう時は何か買わないと。
「わっ、私……!! たこ焼き作りたいです……!!」
頑張って、声を張り上げると、横に居た二人は顔を見合わせた。
「たこ焼きかぁ~、いいねぇ! 店員さんお願いねー」
っというわけで、たこ焼き器を購入してその場は開放された。
デパートから帰る途中、機嫌のいい二人から過度なスキンシップを受け、私は頭を悩ませた。