【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第3章 恋された時って案外無自覚な物でして
驚いて目をぱちくりさせれば、おそ松さんは苦笑しながら話してくれた。
どうやら、高校時代お兄ちゃんがずっと私の自慢話をしてたみたい。
お、お、お兄ちゃん……!!
お兄ちゃんってば、何も思ってないと思ってたのに、そんな他所で自慢してるなんて……、ツンデレ? ツンデレなの!?
「あーあ、こうなるってわかってたから教えなかったのにさぁ~」
「――本当に、いじらしい人だ」
へぇぇぇ、お兄ちゃん自慢するほどいい妹だったんだ~、そっか~、そうなんだ~!!
やっぱり、お兄ちゃん大好きっ!
今すぐに連絡したいけど……、スマホ、壊れちゃった。
「――で、話を聞いて君に一目惚れしたんだけど……って、あのー、鈴ちゃーん、聞いてるー?」
「あ、うん。聞いてる。でもさ、実際聞いた話で思ってた人物と全然違うでしょ?」
そうそう、これだよ。
実際、一度怒らせたから私の印象は最悪になっただろうなぁ。
「あぁ、それは思ったな。もっと、否定されると思ってた」
「えー、それはないわー。そういう子しないって、俺知ってたし」
「そうなのか? イタリア女性は気の強い女性が多いからな」
いやー、それは日本も同じだよ。
女同士の悪口大会は怖いからね~。
ある意味、本音と建前のないイタリア女性のほうが好感度高いと思う。
日本は、隠してナンボの世界だから……。
「俺は、大和撫子なイメージあったからなー。ボーイッシュな格好で会うとは思わなかったけど」
「私が大和撫子……?」
つい、首を傾げてしまう。
まぁ、それなりの躾はされてるし、そこまで馬鹿じゃないとは思うけど。
男を立てるとか、私に器用な真似はできるのかなぁ?
「あぁ、それはわかる。相手を立てるのが上手いよな」
――いやいや、それはない。
「わかるわかる? ほら、肉が嫌いでも肉屋入ったじゃん。文句一つ言わないし」
「それは、食べさせてもらってる側だし」
それは、人間として当たり前のマナーじゃない?
ご飯に誘ってもらっといて、あれは嫌だのこれは嫌だの自己主張する人は誘いにくいでしょ。
「まぁ、君にとってはそれが普通なんだろうな」
「そういう所、惚れ直したぜー!」
「は、はぁ……」
恥ずかしい事を、隠さないで素直に言うんだね。
うーん、聞いてるこっちが恥ずかしくなる。