第4章 女神、銭湯へ行く
現在、松野家は一家勢揃いして座っていた。
松野家両親が、名前を決めたとの事で発表をされたのだ。
ご都合により、(たぶん)松は入ってない名前。
新たに、鈴、椎という名前を貰った双子神。
さぁ、名前も決まったとこだし風呂行くかーって雰囲気の時だった。
おそ松「そうだ、双子。特に、ヴィクトワール……、じゃなくて鈴」
「――はい?」
おそ松「兄弟になるんだし、敬語禁止。飛行も禁止。後、カラ松のことはちゃんと名前で呼べよ」
「――でも、マスターはマスターですから」
椎「人間にはわからないんだろうけど、そういった上下関係は厳しいんだよ、神様って。上の命令無しじゃ、そういった命令は聞けないワケさ」
カラ松「そんな、難しく考えないでくれ。まぁ、兄さんの意見に従ってくれたほうが助かる」
「はい、マスター」
おそ松は、どうも納得出来ない表情で首をひねる。
「仕事をするって、そういう事なの。日常生活でも、絶対に崩せないルールってものがあるのよ、兄さん」
これでいいんでしょ、と言わんばかりに溜息をつく鈴を見て、おそ松も「まぁいいか」と苦笑する。
思ってみれば、まだ出会ってすぐの頃。
そんな時期に、距離を縮めようと思っても無駄だ。
おそ松「まぁいいや。風呂行こうぜ、風呂」
そうして、一行は無事銭湯へ出掛けたのだが……。
それは、歩いて数分後の事。
道端にある、トラップといえば……。
椎「カラ松!!」
鈴「なんだ、葡萄ないや」
道端にある自販機トラップの前で、椎がカラ松の服を必死に掴んでいた。
おそ松「駄目。風呂が先」
トド松「一本くらい買ってあげれば?」
カラ松「さっき買ったばかりなんだ」
一松「あー、あれそういう理由で買ってきたんだ」
椎「一本だけ、一本だけでいいから!!」
自販機の前で駄々をこね始めた椎だが、鈴は興味無さそうだ。
鈴「チッ、しけた自販機ね」
チョロ松「いやいや、お願いだから女の子が舌打ちとか止めて!?」
葡萄味のジュースのない自販機を見て、鈴は恨めしそうに見つめている。
おそ松「風呂あがりに買ってやっから」
その一言で、一行は無事銭湯へと移動した。