第2章 ハルハウララ
ボヌールは烏野高校から徒歩で行けるところにあるので、私はバレー部の皆さんと歩いてボヌールへ向かっていた。
と言っても田中さん以外親しい人がまだいないので、最後尾をそろそろとついていく。
すると、前の方を歩いていた田中さんが列からひょこっと外れた。
「よっ、小夜」
「田中さん」
「自分の事ちゃんと言えたじゃねえか、頑張ったな」
田中さんはそう言って私の頭に手を乗せ、髪をぐしゃぐしゃと少し荒く撫でる。
「髪ぼさぼさになっちゃうじゃないですか!でも…ありがとうございます」
「お前の髪細くてさらさらしててさ、触ってて気持ちいいんだよ!」
「田中さん、その発言はさすがに変態っぽいです」
「えっ…」
「田中さーん!」
元気のいい声が聞こえてから程なくしてさっきのハスキーな声の小柄な部員さんがやって来た。
「おー、日向」
「しゃす!烏野高校1年、日向翔陽です!」
「お前さっきも言ってたじゃねえか…」
「覚えてもらえるまで何回もやります!」
完全に二人の中だけで話が進んでいってしまっている。私も参加したほうがいいのかな?
「あーえっと、朝比奈小夜です…」
「お前ら同い年なんだからお互いタメ口でいいじゃねえか」
「えっそうなんすか!?てっきり年上かと思ってたっす!」
ほんの数秒の間でも日向くんの表情はくるくると変わる。
天真爛漫とは、こういう人のことを言うのだろう。
「えーっとじゃあよろしく!朝比奈さ…あっ」
「どうしたの?日向くん」
「お母さんもいるときに両方振り向かせちゃったりするかもしれねーなあ…」
ああ、そういえばそういうことも起こるのかもしれない。
自分のことを呼ばれるときなんて、病院で以外めったにないからいまいち分からないけど。
「小夜って呼んでもいい?」
「え?う、うんもちろん、日向くん」
「日向じゃなくて、俺のことも翔陽って呼んでよ!」
「いいの?」
「もちろん!改めてよろしく、小夜!」
にぱーっとした翔陽の笑顔は見ているこっちまでうれしくなってしまうくらいすてきで、きっと彼の名前の通り、お日さまは暖かく優しいものなのだろうと思った。