第2章 ハルハウララ
「先生!」
武田先生を大きな声で呼ぶ男の人がいた。
前聞いた、ハスキーな声の持ち主だ。確か…日向って人だ。
「なんですか?日向くん」
「要するに朝比奈さんがマネージャーになるってことですか?」
「ええ、平たく言うとそうなりますね」
「まじですか!やったー!」
そう言うなり彼が私の前にやって来た。
「こんちわっす!日向翔陽です!よろしくお願いしゃす!」
「え、えっとあのっ…」
「待て待て日向、彼女が困ってるだろ?」
「キャプテン!」
「部長の澤村だ、名前は?」
「あ、えっと…朝比奈小夜です」
「じゃあ小夜だな、これからよろしく」
手を差し出されたので慌てて握手をする。
ごつごつしている、男の人の手だ。きっと長い間バレーをしているのだろう。
ふとお母さんの方を見ると、少し離れたところで電話をしていたみたいだった。終わったようでこっちに戻ってくる。
「みなさーん!今日はどうか練習後にボヌールへ寄って行ってください!細やかですがパンとお飲み物をお出しします!」
「え?」
「お母さん、いいの?」
「ええ、栞那ちゃんにも連絡したから大丈夫よ」
普段はおっとりしている人なのに、今日はお母さんの行動力の高さをいろんな場面で見せつけられた気がする。
「よろしいのでしょうか?朝比奈さん…」
「ええ、もちろん」
「うーん…じゃあお言葉に甘えて」
武田先生のその言葉に再びわっと歓声が沸いた。
「よし!早く片づけ済ませるぞ!」という澤村さんの声で部員さんたちが一斉に動き始めた。
かくして、バレー部の皆さんでボヌールに行くことになったのだ。