第1章 ◆*・1・*◆
返事をしない私に
また可笑しそうに可愛く笑って
目の前の人は私に名前を告げた
雅「怖いよね(笑)俺ね、相葉雅紀って言うの」
雅「歳はね、28才(笑)おじさんだよね(笑)」
30歳近く、おじさんだよねと笑う、その人は、どこからどう見てもおじさんには見えなくて
同年代の男の子よりも遥かに魅力的で異性として男を感じさせる
落ち着いた態度も、私に優しく話しかける声も何もかも
この人の女になるというには
少しの恐怖と躊躇があるけど、なんて言ったらいいのかわからない私に
解放の言葉が降った
雅「あさって」
「……」
雅「遊びに行こっか(笑)」
早い春休みが訪れる卒業生は、自分の進んだ道によって長い休みも思い出作りの為だったり、就職先の勉強だったり色々
でも私は来週から本屋でバイトをする
この先、ずっと
何かが無い限り一生
その本屋のバイトが私の生活を支える
先が見えるようで見えない今
楽しい思い出が1つくらいあってもいいかなと思った
雅「怖くないように、(笑)待ち合わせする?」
私の少しの恐怖を読み取って昼間に、人通りの多い待ち合わせ場所を指定した
「はい……(笑)」
雅「冷えちゃったね(笑)」
私の手を迷いもなく包む大きな手は温かく
女の扱いにも慣れてるんだろうなと思わせた
だって……
急にそんな事をされたのに嫌じゃなかったから