第1章 ◆*・1・*◆
小さな信号を渡る時も、私を振り返って
*早くおいで*って言うような優しい顔をする
公園のベンチに座った後
何も話さず、事態は何も変わらないまま
きっと30分はそこで座ってた
不思議なもので
最初は時間が経つにつれ緊張が解けてきたはずなのに
ある一定の時間を過ぎると、今度は不安に変わり また緊張してくる
その人は何が面白いのか、或いは面白くないのか
グラウンドの中を行ったり来たりするボールを
ただ見つめてるだけ
私を迎えに来たってどういう意味?
この人と一緒にいる意味がわからないまま
手の中のコーヒー缶は軽く空っぽで今度は私の指先を冷やしだしてた
雅「俺の女になる?」
突然振り返った顔は、突然、私に魔法をかけた
呆気にとられた私は頷く事も首を振る事も忘れて
返事をしないまま、目の前の優しく少し可笑しそうに笑う その人を見つめてた
どこか懐かしいような安心する笑顔に
思わず頷きそうになるけど何も知らない この人を
好きになる理由はない
だけど 否の返事が出てこない
きっと
嫌いになる理由もまだ見つかってないから・・・