第1章 ◆*・1・*◆
「んふふふ(笑)じゃ…歩こっか(笑)」
校門の前に停めた高そうな車を、そのままにして私に近づく
無理やり手を引っ張られるワケでもないのに
少しの恐怖が私に芽生えた
「あの公園までならどう?」
学校の横にあるグラウンドみたいな公園
横には通学路
ネットの中では、野球部が練習をしてる
人の目があるから何かをする気はないんだろう
小さく頷いたら、その人が笑って私の横に来た
この人に興味が無いわけじゃない
並んで歩くと揺れる肩は私の目線より上の長身
少し下を向くと綺麗な手
磨かれた靴に大人の男の人の香水が少し薫る
さっきから振り返る生徒は、女の子だけじゃなく
男の子までが息を止める
「コーヒーでいい?」
公園に着くまでの自動販売機の前で私に聞く
停めたままの車が気になる私は何度も校門のほうを振り返ってた
「あぁ(笑)大丈夫だよ、はい、どうぞ」
かがんで取り出した缶を手渡されて
それが思わず温かくて、
何故かその瞬間に この人は悪い人じゃないんだって確信した