第3章 セルリアン・ブルー(怜)
「…はぁ、デッサンのモデルですか」
「だ、だめかな…」
勢いで言ってしまって、我ながらかなり恥ずかしい。
こんなのじゃきっと断られて…
「いいでしょう!!」
眼鏡を上げ、快活とした声で快諾してもらえてしまった。
「休憩終わり!リレーが近いですが今日は個人で泳いでください!」
江ちゃんの掛声の後選手の人たちが散らばる。
「公野さん、僕はどんな風にしていればいいですか?」
「自然な動きを描きたいから私のことは気にしないで、好きなように泳いでてもらえたらうれしいかな」
「分かりました」
竜ヶ崎くんが再び泳ぎだす。
しなやかなドルフィンキック、コースロープと並行にまっすぐ伸びる背筋、ゴールを捉える目線。
優しく、力強く、美しい。
度々手を止めて見とれてしまいながらも、私はなんとかデッサンを終えた。
「無事描けました、ありがとう竜ヶ崎くん」
「いえいえ。…少しだけ、見させてもらってもいいですか?」
「え?うんもちろん、はい」
クロッキーをまじまじと眺める竜ヶ崎くん。
「なんだか…照れますね」
「どうして?」
「こんなに美しく描いてもらって…光栄です」
少し頬を赤らめながら、竜ヶ崎くんは愛おしそうに私の描いた絵を眺めていた。
「じゃあ私そろそろ…」
「あ、待ってください!」
絵も描きあげられたので部室に戻ろうとした私を竜ヶ崎くんが引き留めた。
「えっと、何ですか?」
「もう少しで練習が終わるので、よろしければ美術室で少しだけ待っていていただけますか?帰りに送ります」
「え…いいよいいよ、ひとりで帰れるし」
「だめ…ですか?」
「いや、あの…だめじゃない、です」
残念そうな顔をされてしまったので、承諾してしまった。
「本当ですか?よかった!ではまた後程!」
「ありがとう、また後で」
to be continued…