第3章 セルリアン・ブルー(怜)
夏の肌を刺すような強い強い日差しが容赦なく降り注ぐ。。
放課後の岩鳶高校内では、部活の掛声や笑い声で賑わっている。
私はクロッキーと木炭を持ち校内をうろうろしていた。
「どうしよう、描きたいものが見つからない…今日はもう帰ろうかな…」
うだるような暑さに心が折れそうになり引き返そうとしたら、よく通る声が聞こえた。
「みなさーん!ラスト10本ですよー!」
「この声…」
江ちゃんだ。同じクラスの彼女は確か水泳部だったはず。
少し考えてから、私はプールへ向かった。
背伸びをしてフェンス越しにプールを覗いてみると、やっぱり江ちゃんがいた。
目が合うと、江ちゃんが近くに駆け寄ってきた。
「あれ、公子ちゃん!」
「江ちゃんこんにちはー」
「どうしたの?帰り?」
「ううん部活中。デッサンする人や物を探してて…」
「おっもしかしてうちの選手たちが気になっちゃう?」
「や、あの、まだ探し中で」
「自由に見学していっていいよー!ほらほら、あっちから入って入って!」
江ちゃんに勧められてプールサイドに上がると、さっきと全く違う景色が広がっていた。
きらめく水面、手足の躍動感、泳いでいる人たちの息づかい…すべてが新鮮で、つい見入ってしまう。
「どう?気になる人はいた?なんちゃって」
江ちゃんに肩をとんと叩かれた。
「すごくすてきでね、丸ごと描けたらすごくうれしいんだけど、今日は人物に絞ろうと思ってて」
「そっかそっか。もし描きたいなって人がいたら後で相談してみたら?もうすぐで休憩入るし」
「わかった、ありがとう江ちゃん」
いいのいいの、と言いながら江ちゃんはにっこり笑った。内気な私と違ってはきはきしていてアクティブは江ちゃんは、いつ見てもきらきらしていてとてもまぶしい。
次は泳いでる人たちを順に見ていった。みんな特徴があって、私はそれぞれを脳内で形容してゆく。
4人の中で一番遠くのレーンで泳ぐ人を見て私は思わず息をするのを忘れた。
少し息づかいは激しく、水中から出る手はぴんと伸び、これはそう…
まるで、蝶のようだった。
休憩の時間になった。私は一直線に彼の元へ向かう。
「竜ヶ崎くんっ…」
振り向いた彼にありったけの気持ちを込めて、私は続けた。
「デッサンを取らせてください!」
to be continued…
