第4章 ナポリ(渚)
「えー、キミコちゃんまたナポリタン?」
「いいでしょ、好きなんだから」
「うーん…まあそうだよね。好きなものは欲しくなっちゃうよね!」
ある晴れた休日、私はクラスメイトの葉月渚と買い物に来ている。午前中から会っているので、今はお昼休憩中。
「ねえねえキミコちゃん、この後は何のお店見てく?服屋さん?それともお菓子?」
「まだ決めてない。とりあえずお昼食べてから、少しゆっくりしようよ。混んでるから注文したものすぐに来そうにないし」
「さんせーい!」
にしてもこいつ、いつも思うけど…本当に男子高校生なのだろうか。
小柄な外見はともかく、大の甘党でかわいいもの大好き、もしかしたら女の私よりおしゃれやファッションに詳しいかも。
「えいっ」
そんなことを頬杖をついて考えていたら、ぴっと葉月に眉間をかるく押された。
「った…何」
「眉間に皺よってたよ?だめだよ、せっかくキミコちゃんかわいいのに勿体ない」
「はいはいかわいくないから」
「えーひどーい!僕本気で言ってるのに!」
ぷくっと頬を膨らませるあたりも、私の思い浮かべる男子高校生像とやっぱり多々違う。
私とほぼ共通点のない葉月とどうしてこうやってお昼ご飯を囲むような仲になったのかというと、きっかけは高1の夏、購買での出来事だった。
私の目当てである焼きそばパンの横では、うちの高校の名物らしい「いわとびっくりパン」なる大きなパンを買うため多少もめていた。
「!」
どんっと衝撃が走ったと思ったら、どうやらいわとび(以下略)の人だかりに押されたようだ。
「…いたっ」
立とうとした瞬間、足首に鈍い痛みが走った。軽く捻ったようだ。
「ごめんね、大丈夫!?」
その時、いわとび(略)と焼きそばパンを小脇に抱え、人ごみの中からぴょこんと飛び出て手を差し伸べてきたのが葉月だった。
to be continued…