第3章 桜散る
「じゃ何かあったら報告するね」
そう言って莉奈はそそくさと家へ帰った。
「はぁ…」
ため息しか出ない。
どうやって莉奈を止めよう…
外を眺めると雨が降り出していて、このまま降り続ければ桜が散りそう。
えぇーい、もうどうなっても知るもんか!
私は、携帯を取り出して、電話をかける。
画面には霧野綾人の名前。
プルルルル
着信音が静かな部屋に響く。
「もしもし」
携帯ごしに綾人の声。
胸が高鳴る。
「あ、もしもし…えっと…あの…」
「あ?誰?」
「え…あ、えっと、千夜です。合原 千夜です」
「あ〜、合原さんね」
「はい、そうです。あの友達が、同じ学校に綾人くんがいたって聞いて…」
「あー…一緒にきてた子ね。あの子、美人だからすぐ気づいたよ」
心臓にチクリと何かが刺さった。