第2章 桜降る季節
この席で座ってまってて、と言われて座った席は、初めて会った時と同じ窓側の席だった。
(いや、きっと昨日のは何かの間違いで、もしかしたらお兄さんとか?今いるあの彼は、私が好きだった彼で、昨日のはきっと違う人だ。うん。腕が取れたのも何かの見間違いで、義手だったんだよ、絶対そうだよ)
そんな、自己解決、自己完結が終わった頃に、彼はやってきた。
私の隣に座る。
真正面じゃなくて隣に。しかも密着してるし。
これだけで、顔が真っ赤になる。
ばれないように下を向く。恥ずかしい。
「で、名前。教えて」
「…合原 千夜……」
「え?小さくて聞こえなかった」
「……合原 千夜!」
こんなに近くにいるのに聞こえないはずないと思いつつも、ちゃんと答える。
「へぇ千夜…ね。僕は、霧野 綾人。よろしく」
綾人は、ニヤリと笑った。