第2章 桜降る季節
「あれ?君は…」
彼は少し驚いた顔で私の顔を見つめる。
彼の瞳が大きくて美しくて、私は恥ずかしくなって俯いた。頬に熱を帯びるのがわかる。
こんな状況で、彼の腕を拾うなんて、理解出来ない。
今は腕はしっかりついているし、あれは私の見間違い?
「ねぇ、ちょっと時間ある?」
そんなこと彼に言われて、ないなんて、言えない。
いや、このままついていったら、殺されるかもしれないし、、
逃げるなら今しかない!
だって死ぬのは嫌だもん。
怖いもん。
もう新しい恋するって決めてたもん。
今さら、この人に何されようが関係ないもん。
心の中でつぶやいて、でも、どこかさみしくて。
涙を目に浮かべながら私は走る。