第52章 ケーキ
『ちなみにあの、ケーキって』
「そうだ。そろそろ食べるようか」
「ケーキ持ってくるから待ってて」
「手伝いましょうか?」
「征十郎君は座ってて!」
『手伝「名前ちゃんも座ってて!」』
まさかのケーキが切られずホールのまま出てきた
イチゴとブルーベリーで飾り付けられたそれは雪が作ったもので、さまざまな箇所にこだわりを感じる出来となっている
雪が切るのかと待っていると、ケーキ用のナイフが渡されて少し驚いた
「名前ちゃん切ってくれる?」
『…4等分でいいですか?』
「ええ。真ん中ザクっと行っちゃって」
どの辺りが真ん中だろうかと包丁を右往左往させていると、雨がスマホで動画を撮っている
一体何なんだとケーキを真っ二つに割り少しずらすと、中からブルーベリーがゴロゴロと転がり落ちてきた
『ブルーベリーが出てきた』
「ってことは男の子か?」
『男の子?』
「うん!」
「…そうか!!」
『待って、話が見えないんですけど』
「えへへ。名前ちゃんに、弟が生まれます!」
驚いて手の力が抜けナイフを落としそうになるのを赤司が横から手を添えて止めた。彼も驚いてはいるが苗字程ではない
人形のように首をギギッと動かした彼女は赤司をみて「弟…?」と呟く
確かにそんな話もあったが今そんな冗談をするためにケーキ用意した雰囲気ではないだろうと彼は笑った
「オレじゃないよ」
『え、ええ?!』
「隠してたわけじゃないの。安定期に入って性別分かってからにしようって雨さんと話してて」
『全然…そこは気にしてなくて…』
彼女が子宝に恵まれず、自分自身を引き取って落ち着いた後も病院に通っていたことを知っている
触れていいのか分からない話題だったので今回の件は本当に嬉しいと涙が出そうになるのを我慢しながら、ナイフを置いて苗字は両親に向き合った