第52章 ケーキ
そうして訪れた夕食の時間、まさかの4枚あるピザに最初驚いたが、食べ始めると意外といけてしまうのが人間の不思議
食べ終えてケーキもあるが流石に一旦食休みするかとゆったりとした空気が流れているところ、隣に座る赤司から合図のように手をつつかれる
驚いて変な声を出しそうになったので彼を睨みつけ、深呼吸をひとつしてから正面に座る両親に向かって苗字が口を開いた
『あの、急なんだけど話があって』
「…大事そうだね」
『うん。あたし、その、征十郎と、けけ、け…け…』
「結婚を前提に、同棲しようと思っています」
赤司が言った瞬間、両親の顔が今まで見たことないほど無になった
ついていたテレビが発している音だけがやけに響き、さすがに手土産もなく前振りもなかったので急すぎたかと反省していると雪の表情が明るくなり目を輝かせる
「本当に!?征十郎君と名前ちゃんが!」
「…20歳で家を出て行くのか」
「嬉しいけどなんだか寂しい…えーいつ結婚するの?」
『…もう少し先で』
「ええー楽しみ!でもたまには帰ってきてね?」
「留学の時も寂しかったのに…もう…嫁に…」
「赤司君が息子になるってことでしょ?」
「そこは追い追いですが…そうなれたらオレも嬉しいです」
「征臣さんにはいつ伝える予定で?」
「今日帰ったら話はします。名前を連れて行くのは父の予定を聞いてからにしようかと」
「そうか…そうか…」
雨の目元を押さえる仕草なんか初めて見たと両極端な反応の両親に戸惑いながら、ひとまず問題なさそうだとバレないように安堵の溜息を吐く
しばらくハイテンションでキャーキャーする雪による質問に赤司が答えた末、苗字は先ほどから気になっていたケーキの存在が何なのかを問いかけることにした