第1章 出会い
7話 3人での帰宅時に…
シトシトと小雨が降る中、白川と秋は傘をさして歩き、唐沢は傘をささず二人の少し前を歩く。
「唐沢君、傘は?」
「ん、あー、俺こんぐらいなら傘いらないや、家ちかいし。」
白川の質問に唐沢は気さくに答える。
「いや、おまえ土砂降りでも傘ささず帰ってたじゃねえか。」
「あれはなんか雨に当たりたい気分だったんだよ。」
「なんだ、失恋か?」
「うるせいやい。」
唐沢は女好きの性格から大体いつでも彼女がいる。1週間で別れるのもいれば4か月続いたこともある。
あくまでも秋が知っている範囲ではあるが…
(でもそんだけ次々と彼女ができるってことはやっぱこいつはかっこいいんだろうな。)
秋には彼女がいたことがない、というか、恋をしたことがない。
中学生活でも高校1年でも告白されたこともしたこともない(時々なぜか彼女がいるかの確認がくる子はいたが…)
「唐沢君、風邪、ひかないの?」
心配そう秋の隣で唐沢に尋ねる白川。
「え、ひくって言ったら白川傘入れてくれんの?」
ぐりんと顔を勢いよく白川の方に向け期待の目で見る唐沢。
「え、別にかまわな…」
と、そこまで白川が言いかけたとき
「白川、何とかは風邪ひかないから大丈夫だ。それより唐沢、そこの角でお別れだろ?」
秋の口からすらすらと言葉があふれ出てきた。
「あ、そうなの唐沢君、じゃあまた明日ね?」
白川がニコッと笑い唐沢に手を振る。
唐沢が何やら秋の方をじっとりした目で見てくるが秋は知らんぷり。
そして「はあ…」とため息を一つつき、唐沢は白川に手を振ってから帰っていった。