第1章 出会い
5話 走順決定
それからいちいち白川に絡む唐沢を絞めつつ話し合った末…
1走 唐沢和也(からさわかずや)
2走 鏡 麗 (かがみ れい)
3走 白川風 (しらかわふう)
4走 西野秋 (にしのあき)
と決まった。
(まあ体育祭の走順でなにが変わるわけでもないだろ。)
秋は中学校からなにかとリレーに出ることが多かったが、とくに走順でそこまで何かが変わることがあったとは思えない。
ましてや陸上部の中での走順ならともかく学校の体育祭だ。
「俺1走か~、緊張するな!」
唐沢が全く緊張してるように見えない顔でそう言う。
「がんばれよ唐沢、選抜リレーの勝敗はお前にかかっている。」
唐沢の肩にポンと手をのせて秋が言う。
「しっかりしてよ唐沢、1位じゃなかったらアイス全員に奢りなさいよ。」
鏡も唐沢の肩に手を乗せて言った。
「鏡、お前も走るんだぞ?」
「私の役目は順位キープするだけよ。どうせ他のクラスも2走は女子でしょうし。」
鏡が淡々と言う。
「え~、全責任、俺にかかってるってことかよ。」
文句ありげな顔して言う唐沢に白川が慌てて
「そ、そんなことはないよ?でも唐沢君がとっても重要ってことだよっ!」
とフォローする。秋もそれに続けて
「ああ、負けたらお前のせいってわけじゃないが、それでも大事なとこだ、しっかりやれよ。」
と言ってやる。
白川に褒められてすっかり気をよくした唐沢はどうやらやる気が出たようで
「おーっし!鏡、2位以上で回してやるから順位キープ頼むぜ!」
「どうせなら1位にしなさいよ。」
「え、それはちょっとハードル高いって言うか…」
「なんでそこで弱気なんだ。」
「あ、あはは…」
「そ、その辺にしてあげようよ?西野君、麗ちゃん、ね?」
小首をかしげて言う白川に止められ、秋と鏡は唐沢への追撃を思いとどまった。