第1章 わたしたちは 暖かいね
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「へ」
びっくりするくらい奇妙な声をあげていた。
それを受け、俺じゃないほうの声の主が笑う。
ジーンズに白シャツに、ファンの子に見せてあげたいくらい今日も決まってるこの男が。
「インターフォン返事なかったから、ゲームか、疲れて寝てるかだと思って入ってきちゃった」
ああ、まったく気が付かなかった。
「なに、おセンチ入ってたの?」
主電源を切って、散らばった台本なりを雑に積み上げる。
「潤くんはどうしたの」
振り返って微笑むと、
リビングをいったん出て、何やら紙袋をいくつも抱えて再登場する潤くん。
「これ、こないだ俺が飲んでたサプリ。いいなって言ってたでしょ。撮影まだ残ってるんだから、体壊しちゃだめだよ。おすすめのもいくつか入れといた。あと、自分用に買った枕、やっともう1個届いたんだ。寝に帰るようなもんなんだから、良く寝ないと。あと俺の好きなお店で、ニノに似合いそうなの見っけてね。リハ着にでもしてよ」
俺がテキトウに片したその場所に、あれよあれよと広がる物とそれを広げる潤くんは、欧米のクリスマス?田舎のおばあちゃん?
「俺にくれんの?」
「そうでしょ!お酒とかゴハンは、気を遣ってたらどうしようと思って…ちゃんとニノに使ってもらえそうなものにしたんだからね!」
どれどれ、と一緒にしゃがんでもう1度同じ説明を受ける。
時折潤くんに目をやると、嬉しそうに笑っている。
『あ!じゅんくん、これいいね』
『だろ?ニノは好きだと思ってたんだ』
互いの家を行き交ってたあの頃と、なんにも変らない屈託のない笑顔。
「あと、こっちは誕生日プレゼントなんだけど」
「まだあるの?じゃあこれらはなんなの?」
田舎のおばあちゃんが俺に握らせた箱の中身は、シンプルなブレスレット。