• テキストサイズ

鏡の向こう

第1章 わたしたちは 暖かいね 





side/N



1フレーズ歌って、口ずさんでた潤くんに歌を任せた。
愛しい声の邪魔にならないように、弦を押さえる。




「もういない…ない」




若い頃より歌がうまくなったっていうのもあると思う、
潤くんの歌い上げるそれはやっぱり美しかった。




「最高の誕生日だな~」

「なにが」

「潤くんの生歌」




唇を寄せようとすると、それを拒んで潤くん自ら口づけてきた。




「俺は大丈夫だから。あんまり色々考えんなよ」


色々考えて爆発するアンタの、どの口が言うかと思ったけど、
その一言がなんだか無償に温かかった。



「潤くんもね」


ウインクすると呆れた顔で、手を振って部屋を出て行った。

その姿を、この幸せをできるだけ焼き付けないように、
やっぱりあんまり興味がないように見送った。




傷つかないように。傷つけないように。
生ぬるいくらいがちょうどいい。


わたしたちは 暖かいね




/ 8ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp