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ぼっそり

第9章 ゆっくり(エルSaid)


「勿論、薬のことだけど…俺は別に怒ってはないんだ。ただ、あの時は俺もちょっと戸惑ってて気がおかしくて…本当にごめんなさい」

軽く頭を下げて母さんに謝った。母さんは少し焦ってしまったのか「そんな」と呟いてはにかんでいた。

「頭を上げて、エル。そんなことされたらお母さん何も言えなくなっちゃうわ」

随分と困らせてしまったらしく、母さんは物凄く焦っていた。それにすぐ気づいた俺は颯爽と頭を上げた。

「あ、ご、ごめん、母さん。困らせちゃった…?悪い、えと、あの…」

待て待て、俺が焦ってどうする。話にならないじゃないか。
それを見た母さんは手を口にやってくすくす笑っていた。
何だかそれが恥ずかしくて、自分でも参ってしまいそうにになった。

「ほ、本題に戻るけど、俺は別に怒ってはないから。ただ…あんまり頼らないでほしいって思ってるだけで」

「辛かったら頼ってもいいから、頼り過ぎても俺は怒らない。ゆっくりなおしていけばいいよ、一人でできなかったら俺も協力するから」

言い終わってから微笑んでみると母さんは少し安心したのか口元が笑っていた。

「…そう」

母さんが小さくそう呟くと、何も言わずにじっと座っていた。認めてくれたのか拒絶したのかはよくわからなかったが、伝えたいことを全部伝えきれたからどっちの結果でも俺は良かったと思ってる。

鞄を取って静かに部屋に戻ると丁度キリーが帰ってきた。

「おかえり、キリー」

そう言うと靴を脱いでからキリーがにっこりと笑って「ただいま!」と返してきた。
ランドセルを背負ったままリビングに走って行った。
それを見送って部屋に戻った。
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