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ぼっそり

第9章 ゆっくり(エルSaid)


朝から覚悟はできてた、否定されようがへこたれないほどの自信がその日にはついていた。
今日は母さんを何とか説得しようと思っていた日だ。
あんまり、難しいことはわからないけど最善の事はつくそうとは思ってる。

帰り際にロイが「頑張れよ」と言ってくれたのがちょっと嬉しかった。
成功するかはどうかはわからないけど、もし母さんが納得してくれたらいいなって感じくらいにしか思っていない。

ドアを開けると母さんはいつものようにリビングに居た。
今日はテレビをつけていなかった。ぼんやりと外の窓を見ていた。

いつも三人でご飯を食べている机の下に鞄を置くと、母さんの前の椅子に座った。
「ただいま」と呟くと、母さんは笑顔で「おかえり」と言ってくれた。昼時はいつも機嫌がいいのか特に攻撃的な感じはしなかった。

「今、平気?」

「…」

母さんは浮かない顔をしながら苦笑していた。
あまり話したくないことなのはわかっていた、今だめなら他の日にまわそうと思ってる。

「ダメならいいよ、いつかまた話すから」

「いいえ、大丈夫。大丈夫よ」

部屋に戻ろうとしたら少し早口で母さんが俺を引き留めた。その行動にはすこし驚きを隠せなかったが、椅子に座りなおして初めからしきりなおした。

「うん、じゃあ話す。辛くなったら途中でやめるから」

少し心配だったけれど母さんが頷いてくれたのが嬉しかった。
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