第1章 じっくり
「久しぶりだな、ここ 相変わらず物が無い」
「嫌味か」
「いや?シンプルでいいじゃん 俺好きだよ」
部屋の隅にカバンを置いてネクタイを解いた。エルはベットに腰をかけて深いため息をついた。
ネクタイをハンガーにかけるとエルはベットに寝そべった。
腕枕をして壁に向かって静かに目を閉じていた。
エルが放り投げていたバックを同じ隅に置いて一息つきながら床に座った。
「寝るなら一人の方が寝やすくないか?」
「………そうでもない」
小さく掠れた声で言った。
やはり、親が居ない家というものはそれだけ寂しいものなのか俺にはわからなかった。
「…あーっさほど眠たくなかったな」
「お前、授業でまた寝てたもんな?そんなに眠いならもう少し寝たらどうだ」
「そう、だな…」
エルはすっと起き上がって俺の隣に座り込んだ。
まだ眠気が残っているのか頭をクラクラさせながら薄く目を瞑っていた。
軽く方に寄りかかってきた。