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ぼっそり

第7章 どろどろ(エルSaid)


「最近おかあさんといっぱいはなせてたのしいの~」

母さんが作ってくれた晩ごはんのハンバーグをフォークで口にほおばりながらキリーが言った。
今日の晩ごはんのハンバーグはキリーの大好物だ。キリーのだけ旗がついている。

「嬉しいわ、キリー」

にこにこ笑いながら母さんが言った。俺も母さんが作ってくれた料理は好きだし、嬉しかった。
母さんは結構料理が上手くて、それに美味しいから大好きだ。小学生の校外学習でのお弁当も毎度楽しみだった。

「美味しいよ、母さん」

そう言うと母さんは優しく微笑んで見せた。とりあえず、いつもの母さんに戻って少し嬉しかった。

あの薬の件、もう起きないでほしい。
別にあの薬一つで母さんの全てを狂わせている訳ではないけれど、やっぱり許せない。考えただけで腹が立つ程だった。

母さん相手にここまで怒ったのは初めてだし、自分でもどうしてここまで怒っているのかがわからない。

「ごちそうさまでした!」

キリーがソースを口につけたまま満面の笑みで手を合わせていた。

「キリー、ソースついてるよ。ほら、拭くからこっち向いて」

キリーがこっちを向いて、俺はティッシュで口回りを拭いてあげた。「気をつけろよ」と言うと大きく頷いた。

母さんが皿を片付けようとした。「ああ、俺がやるから」と言っても母さんは手を止めなかった。

「休んでていいよ」

そう言うと母さんに諦めがさしたのか微笑んで部屋に戻っていった。
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