第6章 じんわり
「ところで、何かあるのかその湿布」
「無いよ」
「…」
相変わらずエルは答えてくれなかった。これ以上聞くのも諦めが見えてきた。
「…何かあったら言えよ」
「無いんだって」
「あったら、だ」
エルはうぐ、となりながらもちゃんと最後まで話を聞いてくれた。
少し表情が柔らかくなった気がした。
と、それはいいのだが何で俺エルの頭撫でてたんだ?いや、別に悪いことではないと思うが、どうして普段しないそんな事をしたんだろうか…?
少し不思議に思っているとエルは「なんかあったか?」と聞いてきた。「何でもない」と答えると納得したのか「そっか」と言った。