第6章 じんわり
「エル」
「ん?」
「放課後家に呼んでもいいか?」
「ん、あ…おう」
帰り道、唐突に聞いたからか少し驚いたような顔でエルは答えた。
やっぱり唐突すぎたか?そんな事を思いながらもエルを家に連れて部屋に誘導する。
この前来たときから比べたら久しぶりという言葉にまとめてもいいと思う。
部屋に入るとエルが部屋のすみに鞄を置いた。俺もその近くに置いた。
ベットの上にどっかり座ったエルは、ベットのバネで少し揺れ動いていた。
「どうしたの唐突に」
俺を見上げながらエルが言った。
「あんま無いじゃん、こういうことって」
「少し引っ掛かってな」
「……湿布?」
少し首をかしげてエルはたずねた。それに頷いて答えた。
エルは少し何かを考えているように目線をそらした。言いたくないような事なのか?
「ロイが心配する事じゃないよ」
「じゃあ何でいつもより表情が暗いんだ?」
エルが小さく「え」と言って俺を見た。今にも泣き出しそうな目だった。
「クラスの奴等も心配してたのに、何で嘘吐くんだよ」
「嘘…じゃ、ない」
「嘘だろ」
エルはそっぽを向いて黙りこんだ。