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ぼっそり

第5章 ぐさり


午前四時、外は少し明るい。母さんがあんな状況だから今日は学校を休むことにした。

こんな状況で母さんに電話を頼むのも無理なことだし、自分で言うのもなんだか嫌だ。それに、そんなに元気なら来い、とでも言われそうだしやめた。
あ、そうだロイに頼んでみよう。ロイなら多分、伝えてくれるだろうし一番信頼できるしな。
そう思ってスマホを取り出してメールで伝えた。さすがの俺でもこんな時間から起きてはない。むしろ起きれない。そんなことをうだうだ考えながらも、携帯に文字を打ち込む。
不思議と手が震えていた。うまく文字が打ち込めない。

母さん、怖かった。俺を産んでくれた人に見えなかった。もっと優しくていつも笑顔で、美味しいご飯を作ってくれた。
それが、今はこうだ。
あんなに冷たく言ってしまったが、本当は怖かった。もう嫌われたんじゃないかと思った。いや、多分嫌われてる。あんなことをしたのだから仕方ない。当たり前だ。

涙がぼたぼたとスマホの液晶に落ちる。本当は大きな声を出して泣いてしまいたいのに、上手く声が出ない。
息を漏らしながら、過呼吸に近い状態で泣くしかなかった。静かな部屋に自分の泣き声が木霊する。キリーの静かな寝息さえも聞こえないくらいだった。

もぞっと小さな音がした。キリーが寝返りをしたみたいだった。驚いた俺は流した涙を全部袖で拭いた。袖がびしょびしょで最後まで上手く拭ききれない。こんな顔見せたくない、心配させたくない、そんな気持ちでいっぱいだった。
けれども堪えてる息は漏れたままで、息が苦しかった。
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