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ぼっそり

第5章 ぐさり


「…どうしたの」

キリーが俺の声と息に気がついたのか目を擦りながら起きた。少し寝ぼけていた。

「キ、リ…」

震えた声でそう言った。

「…ないてるの?」

何故だかキリーが起きたと同時に俺は泣き出してまた涙がぼろぼろと出てきた。
ああ、もうこんな顔見せたくないのに、心配させたくないのに。どうしてこんな時に泣くんだよ、俺のバカ。

「かなしい事があったなら、キリーがなぐさめてあげる」

キリーは布団から出て、ぽんっと俺の頭を撫でた。それも優しく、ゆっくりと。
ああ、小さい頃の母さんを思い出す。母さんはいつも俺を寝かしつける時にこうやって撫でてくれた。それがあまりにも心地良くて俺はいつもすぐ眠りについていた。キリーの撫で方は母さんに似ていた。

「安心してエルお兄ちゃん。いつでもキリーが居るから、ね」

そう言うとキリーは優しく俺に抱きついてきた。
そう言われるとなんだか安心して、いつの間にか泣き止んでいた。泣き疲れたのか俺はそのまま眠りについてしまった。
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