第5章 ぐさり
午後、授業が始まるまでの休み時間。
次の授業の準備を終わらせて、特に何もやることが無かったので一人でにボーッとしていた。
未だにあの女生徒が脳から離れない。一目惚れとか恋煩いという訳ではない、ただただ気になるだけだ。
何もおかしいことなんてない。あんな静かで俺とあの女生徒しか居ない部屋で借りたい本を見つけて俺に差し出した。それも知らない初対面の人にだ。
俺の場合だったらどうなるかは想像がつかない。あまりそういう場合や状況には遭遇した事が無いからだ。
言われてみればこんな小さな事、小一時間考えるような事じゃない。
気になったり知りたいなら人に話せばいいだけのことだ。しかし、俺はこの女生徒の話は何故か誰にもしないで隅に置いておきたいと思っている。
理由はわからない。
こんなこと気にしてる俺がどうかしてる。きっとそうだ、そうに違いない。
なんて考えたらそうとしか思えなくて、頭が腐るようだった。もう、やめよう。