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ぼっそり

第4章 しんしん(エルSaid)


どれくらい寝ていたのだろうか。
外を見てみると水色とピンクが混ざったような空だったのがオレンジと薄暗い紫が混じったような色になっていた。
時計を見ると5時24分。丁度夕暮れといったところだ。

ゆっくり部屋から出て廊下に出るとキリーが帰ってきてたのか母さんとの話声が聞こえた。楽しそうだった。
今日あった出来事や今までで楽しかったこと先週の出掛けたことなどをとても楽しげに話していた。

久しぶりに母さんが起きてきたので、少しでも部屋を片付けねばと母さんの部屋にこっそり入った。
中は意外とシンプルでほぼ何もないのに等しい。
母さんはあまりモノを持たない主義なので、結構部屋がしいんとしている。

掛け布団がなおされているベッド。
白く少し小さめなテーブル。その上には小さな棚が置かれている。その辺をうろうろしていると見慣れないものがあった。

薬だった。近くには母さんの名前がボールペンで書かれた白い封筒が入っていた。
中には丸い三角の白い錠剤とこれも丸く白い錠剤だった。
封筒には「向精神薬」と書かれていた。
つまり、精神病者が飲む薬…ということか?

信じられなかった。

俺は何を血迷ったのか封筒をそのままにして、薬だけを抜き取って、自分の部屋にあったティッシュに全ての錠剤を取り、ティッシュにくるんで捨てた。
残った銀紙のような入れ物を封筒にまた入れた。

少し落ち着いてから下の階に降りた。
楽しげに話す二人の声が何故か心に突き刺さった。
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