第4章 しんしん(エルSaid)
授業が終わって帰宅時間。俺は今さっきロイに「じゃあ明日な」と言って別れた。
そろそろキリーも帰ってきてる頃だと思う、それか友達と遊びにいって暫く帰ってこないかのどっちかだ。
キリーは活発でクラスの中心に居ることが多いらしく、いつもながら遊びに行っている。
小学三年生だから、来年には部活動が解放され入りたい人は入れるようになる。キリーがどの部活動に入るのかは聞いてもいないが、多分入ると勝手に俺は思っている。
「ただいま」
玄関で靴を脱ぎながらそういってリビングに向かった。母さんが起きていて、テレビを見ていた。最近よく出ている芸能人のレギュラー番組のバラエティーだった。
「あら帰ったの、おかえりなさい」
母さんは微笑んで言った。
今日は機嫌が良いみたいだった。これは結構珍しいことだ。いつも母さんは具合が悪いだの機嫌が良くないので一日中寝てばっかいる。だから、こうして起きているのは結構珍しい。
「母さん起きてたの、珍しいね。お昼食べた?」
「いいえ、今さっき起きたから何も食べてないわ」
「何か作ろうか」
「いいわ、お腹減ってないの」
母さんはそう言ったが俺には心配でたまらなくて何か作ってやりたいと思った。何でもいい、母さんの好物でも何でもいいからつくってあげたかった。
でも、俺が調理器具を取り出すと「結構」と言って断るのだった。
さすがにこれにこりた俺は部屋に戻って少し横になった。疲れていたのかすぐに眠りにつけた。