第4章 しんしん(エルSaid)
「もー…本当にふざけんなよな」
俺のひねくれた機嫌は一時間目の体育から四時間目の授業が終わるまで続いた。
自分でもどうしてこんなにもネチネチ思い続けているのかがバカバカしく思えた。
それでもロイはいつもの済ました涼しい顔でいつもながらの読書を続けていた。なんだかその行為に腹立たしくも感じたが、もう結構怒ったので止めておいた。
「聞いてるのか?」
「聞いてない」
普通の生徒ならここで怒るだろうが俺は怒らない。もうこんなの慣れっこだ。俺がどこまで必死に物事を伝えようが読書をしているこいつにはかなわない。
終いには「うるさい」と言われて片付けられるのがオチだ。
実際その時になればわかるが、意外とこの時に遭遇したときは何も言えないものだ。
俺は何回も経験してるんで、慣れているが。特例ってやつだ、多分。
「あ、そういや弁当の時間じゃん。ロイ、学食行こうぜ」
「おう」
ロイは読んでいた本をパタンと閉じて、机にしまって鞄の中の弁当を取り出した。
俺はいつも朝に時間がないんで弁当は作れない。まあ、面倒なのもある。だからいつもロイと学食まで足を運ばなければならない。
正直これも面倒くさいことなのだが、ロイがついてきてくれるだけで結構有難いものだ。
今日の学食はカレーライスだった。
この前家で自分が作ったものとこっそり味を比べてみたが、やっぱり学食の方が美味しい気がした。
キリーは俺のカレーの方が美味しいと言ってくれるのだろうが、俺にはそう感じられた。
ハッと気がつくとロイはいつの間にか食べ終わっていて、じっと俺のカレーを見つめていた。
「要るか?」
「いや、見てるだけだ」
「なんだそれ」
本当に今日は不思議な奴だな、こいつ。