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ぼっそり

第2章 こっそり


それから、姉さんが行きたいと言った場所に転々として行った。
俺はついていくのに精一杯でいつもより疲れたが、姉さんもキルもエルも楽しそうだった。


茜色の空に太陽が沈みかけていった。
集合場所だった駅前まで戻ってきた俺達は、それを見ていた。

「もうそろそろ暗くなるから、ここで解散しましょ」

先頭を歩いていた姉さんがくるっとこっちを向いてそう言った。
着ているワンピースの裾が映えるようだった。

「えーもうイブキお姉ちゃんとバイバイするの?」

キリは少し駄々をこねるような言い方をした。少し寂しいみたいだ。

「本当はもう少し遊びたいけどな、キリも明日学校だろ?起きれなくなっちまうぞ」

「えっえっやだ!キリ、先生におこられたくないもん!」

そういうとキリは姉さんにぎゅっと抱きついてから小さな声でバイバイ、またいこうね、と言ってエルの方に寄っていった。

「じゃあ、また誘ってくれよ?俺ら大体は暇だし…ロイも、誘ってくれてありがとうな。楽しかったぜ」

エルはニヒッと笑って見せて手を降りながらキリと家に向かっていった。

「ロイ」

姉さんが俺の方を見て珍しくおしとやかに「ありがとう」と言って笑った。

「…弟相手に何してんのさ、ほら帰るよ」

「もーロイは本当に照れ屋さんなんだから!ふふっ」

「まあ…今日は楽しかったけど。久しぶりにリラックスできた。行こうって言ってくれた姉さんも、ありがとう…な」

姉さんはきょとんとした顔をしてから吹き出して「さっ、帰りましょう」と言って俺の手をつかんだ。
いつもならやめろ、と言って振り払うのだが、今日はなんだかその気は起きなかった。
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