第5章 トラウマ
白川側
寝れないのは日本語的に間違っている
正確には寝たくないのだ
雨の日は必ずと言っていいほど
例の夢を見る
それがとても怖いのだ
見る夢ごときで寝れないのは
小さい子だけだと思ったか
悪かったな
僕は優真の頭に近い壁にもたれながら座っている
仁王君は家の中の何処かに行ってしまった
僕は見るものがないので
とりあえず優真を見守る事にした
仁「寝とらんかったんか」
襖を開けて仁王君が帰って来た
仁「これにでも包まってれば寝れるじゃろ」
仁王君は薄い毛布を持ってきた
顔を見るに心配している
ここで拒否をしたらどうなるのだろうか
仁「拒否は認めんぞ」
先読みは反則だと思うんですが
『わかりました』
仁王君が差し出した毛布を受け取った
『いいのですか?勝手に持ち出しても』
仁「ああ、真田からは毎回のように借りとるからな」
『それでは仁王君のがありません』
仁「俺は良いんじゃ。寝る訳でもないしのう」
『そうですか』
僕は毛布に包まった
あったかい
襖で風を遮断しているからと言って
絶対に出来ている訳ではない
毛布に包まると風を通さないのであったかい
仁「俺がここに残っとる理由はわかるな?」
『優真の看病ですか?』
仁「もう1つあるナリ」
『もう1つ?』
何があるのだろうか
『僕の......監視』
小声で言った
仁「まあ、そうじゃな。お前さんが無理をしないようにするだめじゃ」
『そうですか』
予想外の答えだ
僕はわからなかった
仁「まあ、寝な。後は俺にまかせんしゃい」
『それでは、お言葉に甘えて』
驚くほどすぐに眠りに入ったのだ
仁王側
そういやー、伝え忘れがあったのう
仁「白川、すこs......」
なんじゃ、もう寝たんか
まあ、あれだけ無茶をしたんじゃ
仁「監視......」
もっとオブラートに言う事は出来んかったんかのう
俺はそう思いながらも白川の隣に座った
仁「ん?」
白川の毛先の色が変わっている
銀から水色になっている
先生も髪がどうたら言ってたな
元は水色なんか
想像出来んな
(のう)
(はいはい?)
(なんで鍋じゃ?)
(今日の晩御飯が鍋だったから)