第5章 トラウマ
白川側
僕は暗い所に浮かんでいた
さっきの場所か
先ほどのように足元を見ると
少女が笑顔でこっちを見ている
僕は少女の目の前に降りた
?「おかえり」
『ただいま』
?「おさらい、しようか?」
おさらい?
?「ここに漂っている光の粒は何?」
なるほど、さっきのか
『僕の記憶』
?「この空間は何?」
『僕の心を形成している場所』
?「うん、流石だね」
少女は眩しいくらいの笑顔だ
すごく嬉しそうだ
?「じゃあ、さっきの話に戻ろうか?」
『その前に、君の名前はなんですか?』
?「私?うーん、今は教えられない」
『ではニックネームでもいいです』
?「じゃー、レイン!私の名前はレイン」
『レイン、ですか』
レイン
雨か
レ「さあ、お話をしましょうか?」
『わかりました』
レ「お話をするのはいいけど、少し行きたい場所があるから歩いて話そ」
『はい』
僕はレインについて行った
レ「私はあなたの手伝いをするわ。それは嘘じゃない」
『はい』
レ「だけどね、あなたには1人で行って貰わないと行けない所がある」
行けない所
レ「今回の目的は思い出す事だけど、良い事ばかりじゃないのは知っているよね?」
『では、僕にとって悪い場所はとても辛い、と?』
レ「うん、あなたにとって辛い所に私は行く事が出来ないの。正の感情には共有出来るけど、負の感情には出来ないの」
『では、道だけの案内と』
レ「うん、ごめんね」
歩いていく内に黒い霧が現れた
僕は無意識に立ち止まってしまった
レインは僕に振り返って走ってくる
レ「大丈夫、私がいるよ」
レインは笑顔で言うと僕の手を握った
レ「一緒だと怖くないよ」
僕はレインの手に轢かれながら歩いて行った
レ「着いたよ」
周りを見ると黒い霧が濃く掛かっている
どれだけ見渡しても何も見えない
レ「あなたには黒い霧で何も見えないと思うわ」
『では、レインは見えるのですか?』
レ「うん、でも全部見える訳じゃないよ」
僕は再度見渡す
レ「ここはあなたの抱え込んでいる、誰にも言えない闇の場所」
『誰にも言えない?』
レ「うん」
レインは辛そうに短く答えた
レインは先を指さした
レ「ここから先は順番を間違えてはいけないよ」
順番
わからない事だらけだ