第19章 面倒
『...明日が欲しかっただけです』
忍「明日?」
『窓のない施設の地下に閉じ込められ、今日が朝なのか昼なのか夜なのかわからない所にずっといました。食事が制限され、自分達と同じような子供や、それよりも年下の子にご飯を分け与えました』
桃「マジ、かよ...」
『自分が食べられるのはコッペパンの3分の1でした。それで毎日を乗り越えました。それでも兵を作るために銃の扱い方、小さい体での近接戦闘などを教え込まれました』
鳳「なんで...」
『そこから成績の良い順に名前を与えられました。僕はファースト。どの子供よりも優れていたようです。最初の仕事は自分の両親を殺す事。出来なければ施設の子供を全員殺すと言った。何も知らない場所で楽しめない子供達のために、明日を守るために、殺した』
何度聞いても重い話じゃ
息が詰まりそうで、目の前の彼女が辛そうで
『自分達の明日が欲しいがためだけに、大人を殺し、新しい村から子供を誘拐する。それらに嫌気がさした他の子供が反対運動を起こし、僕をリーダーとして作戦に出た。が』
跡「失敗に終わった。お前1人と、あの大河ってヤツが生き残った」
『はい』
幸「楽しい?」
『はい?』
幸村からは別の質問が投げかけられた
幸「今は楽しい?」
『...多分、楽しい...』
その呟きは小さかった
幸「聞こえないね」
『楽しいです。今まで以上に楽しいです』
上風「氷月」
真剣だった表情が柔らかくなり、俺達を見る目を和らげた
『楽しいですよ。今まで話でも拒絶させられて、人を見ただけでも敵意を持っていた自分が、大河に言われた通り、僕は丸くなってるのかもしれません』
俺達も自然と表情を和らげた
跡「最後の質問だ。お前、マジシャンだろ?」
「「!!」」
『爆弾発言ですね。どうしてですか?』
跡「俺の情報網をなめんな」
『まあ、そうですけど。あまり他の人には言わないでください。いい思い出もないので』
跡「わかった。いいな?野郎ども」
忍「勝手に聞いたんは跡部やないかい...」
宍「ま、いいけどな」
菊「ほえー、こんなイケメンだったのか」
大「英二」
柳「データを取るのは難しいぞ。貞治」
乾「それが楽しいじゃないか。蓮二」
切「なんか、怖いッス」
『蒔苗さんを部屋に運びましょう。明奈さん』