第5章 トラウマ
白川側
通学路を歩いているのはいいが
『優真、何を怒っているのですか?』
上風「お、怒ってねーし!」
朝食の時からずっとこう
僕が優真の顔を覗くと
優真は頬を赤らめてそっぽを向く
なぜでしょう?
嫌われたのでしょうか?
いつもの交差点
ここで分かれて学校へ行く
いつもの用に渡り
『では、行ってまいります』
これもお決まり
上風「あ、ああ」
これは違う
僕は優真に背を向けて高校へと行く
今日は雨が降っていると言う事で
朝練をやっている部活が少ない
1階の昇降口前の廊下で野球部がひたすら走っていたり
体育館前の廊下ではサッカー部が筋トレを行う
外部活は多いため雨の日は分割してやるそうだ
雨が降って朝練がなくなるのは
ソフトボール部、ラグビー部、陸上部の3つ
女子テニス部は今日は部室清掃のため朝から部室にいる
男子テニス部は今日は朝練がないとか
見てきた訳じゃない、昇降口前の掲示板に書いてあった
何かと書かれている事が多いため毎日欠かさず見ている
何気に来週の予定も書いてある事が多い
マネージャー業を終えて1週間
毎日のように朝、昼、帰りと
幸村君、柳君、真田くん、仁王君、柳生君が
僕の目の前に現れる
内容はマネージャーの話である
今回は特殊であったために先生の一時許可が降りたのだ
この高校は部活動は絶対
マネージャーでもいいから入らないといけないらしい
と言うけど
男子テニス部は人気があるため
毎日のようにファンが見に来るという
迷惑な話である
マネージャーの仕事に話についてくるこちらも大変だが
しかも、柳君が相手のため
登校時間、下校時間をしっかり把握しているようだ
見ない日はない
柳君は一緒のクラスであり隣の席
回避のしようがない
『はぁ......』
溜息くらい僕だってしますよ
しかも、今日は雨
雨は嫌いだ
なんでも流してしまうから
そんな事を思って自分のクラスの扉に手を掛ける
と、中から大きな女性の声が聞こえた
僕は開けずに扉に立った