第4章 フラグ回収は準2級
白川側
僕の手にはホウキとバケツと雑巾が握られている
途中で倉庫に寄ったのはいいが
中々、まともなバケツがなく
探すのに時間が掛かった
『約一週間お世話になりましたらね』
男子テニス部の部室を少しでも綺麗にしようと思ったのだ
さすがにこうも汚いとどこに物があるのかわからないからな
休憩の時間はまだ1時間はある
そのうちにやってしまおう
部室に設けられている水道に向かいバケツに水を満たす
30分経ってようやく全ての床が見えてきた
大きなゴミ袋は2袋
ロッカーの中までは手が出せない
僕は濡れた雑巾を持って1つ1つロッカーを拭いていく
優勝トロフィーに埃が被っていたのでそれも拭いた
これで、僕の大きな目標が終わった
バケツとホウキを持って外に出た
外に出るとやはり眩しい
目が少し痛む
でも、すぐに慣れて和らいだ
僕は一息して用具を元に戻しに行った
置いて戻ってくると休憩は残り10分くらい
僕はテニスコートの近くにある木陰に座り込む
真上を見ると
葉と葉の間から差し込む日差しがチラチラと見える
それを見ても目が痛くなった
『全く、僕は学習しませんね』
僕は顔を下に向けた
独り言にしてみれば少し大きな声で言ってしまった
誰かいるのは知っているがその人に言ったわけではない
仁「参謀はお前さんの事を頭が良いと言っとったんじゃが」
仁王君だ
しかも、こちらに向かって歩いてくる
別に嫌ではないのだが
仁「休憩か?」
『そうです』
僕の目の前に立たないでほしいかな
顔が見えないから
『仁王君は何を?』
仁「お前さんを探しとった」
『僕を?』
僕は顔を下に向けたまま上は見えない
仁「ああ、朝の事なんじゃが......」
『気にしていません。切原君の時に言った時のように』
仁「すまんな」
『いいえ』
仁王君がどんな顔をしているか知らない
だけど、言葉を聞く限りでは悲しい顔をしていると思う
仁「お前さん、眼鏡するんか?」
顔が見えないのに......
ああ、耳を見たのか
まあ、髪を縛っているからわからない事でもないが
『はい』
仁「目は良いと思っとたんだが」
『視力は良いですよ』
僕は腕時計を見る
残り時間5分
僕は立ち上がる
仁王君と目があった