第3章 大きな過去と小さな現実
藤「次の仕事場って、帰って書類検査かよ!」
誠「これも立派な仕事だ!」
藤「タクッ!」
だけど、あの女の子はどこを見ていたんだろうか?
誠「お前はこっちを見るんだ!!」
読心術、恐るべし
藤「また、行ってみないか?あの子の所」
誠「俺達の今度の仕事はあの子から何かを喋らせる事だ」
藤「あんな子からか!」
誠「仕方がないだろ!現場検証でも何も出てこなかっただ!!」
藤「......わかったよ」
それから3か月
俺達は毎日その子の所へ顔を出した
藤「よう!ただいまー!」
誠「ここは家じゃないぞ藤岡」
藤「わーってるって」
こんな事で反応しないのはいつもの事だ
そして
藤「ほら、お前さんの大好きな本を買ってきたぞー」
?「!」
少女は本が大好きのようだ
読み切ってしまっても同じ本を何度も繰り返し読むので
最初に買ってきた本はビリビリだ
しかも少女はなかなか頭が良く俺らでもよくわからん本を理解している
この前、間違って買ってきた高校生の数学の本をまるっきり読み問題に答えていた
これには驚かされた
だけど
誠「今度は難しい本を買ってきたよー」
と誠の手から本が手渡された
無表情に変わりはない
普通の子供だったら好きな物を与えられた時は大はしゃぎするのに
この子は喜ばない
事件解決から半年経っても、少女の顔はいつまでも一緒だ
俺は時々絵本などを使って読み聞かせをする
その時、意味のわからない言葉が出てくると俺の顔を見つめる
最初はわからなかったが、読み聞かせをしていく内にわかった
突如、誠の携帯が鳴った
藤「マナーモードにしておけよ」
誠「すまんすまん」
誠が電話に出ている間
俺は少女のおもりだ
と言っても少女は本を読むだけなので監視だ
少し聞くと誠が入ってきた
怖い顔をしている
誠は俺の方を向き
藤「話しがあるのか?」
誠「ああ、君も聞いてほしいかな」
藤「こいつにもか」
誠「ああ、嫌だけど上がどうしてもだとよ」
藤「上の命令は本当に嫌いだぜ」
誠「ああ、このやり方は嫌いだな」
藤「やり方......?お前まさか!」
俺は誠の襟を掴んだ
誠「俺だって!!」
俺は冷静になり離した
藤「......すまない」
誠「ああ、話すぞ」
俺達は話しをした