第3章 大きな過去と小さな現実
白川側
なんという観察力と分析力
流石に僕も驚いた
こんなにも監視をされていたなんて
柳君はどこまで知っているのだろうか
だが今は
先の回答をしなければならない
『少し席を外してもいいでしょうか?』
幸「ああ、いいよ」
僕は屋上の扉を開けて中に戻った
扉のすぐ手前の踊り場で携帯を取り出た
電話帳を開き通話状態になった
母「あら、氷月どうしたの?」
『今度の日曜日の話を少しいいですか?』
母「いいわよ、それで?」
『高校のテニス部から1日マネージャーをやってくれないかと頼まれましたが、その日は何も予定がないでしょうか?』
母「日曜日ね、少し待って頂戴」
『はい』
都美子さんが受話器を置き待機状態になった
すぐにして待機状態が終わった
母「今度の日曜日には全く用事は入ってないわよ」
『では、よろしいでしょうか?』
母「ええ、いいわよ。でも、無茶だけはしないでね」
『わかっています』
母「ふふふ、楽しいといいわね」
『そうですね、では失礼します』
僕は電話を切った
では、やってみましょうかな
マネージャー
僕は屋上への扉を開いて
テニス部員達の元へと行った
幸村側
白川が扉を閉める
そして俺はここに来てから顔を上げない仁王の横へと座った
幸「どうしたんだい仁王。俺に隠し事は出来ないよ」
仁王は下向いたままだった
柳生「仁王君、どこか具合でも悪いのですか?」
仁「いや、別に。ただ」
なぜだ?仁王の声が震えているように聞こえる
俺は心配になって仁王の肩に手を回した
!案の定震えている
かなり小刻みに震えているようだ
真「精市!」
幸「待って、弦一郎」
俺は弦一郎の言葉を遮った
丸「大丈夫かよぃ、仁王」
丸井もかなり心配している様子だ
ジャ「......」
ジャッカルは何も言わないが心配している
幸「蓮二」
柳「俺は何も知らない。ここには最初、仁王と白川しか居なかった。おそらくだが2人の会話に何かあったのだろう」
俺は仁王にしか聞こえない声で言った
幸「大丈夫、後でしっかり聞くよ」
屋上の扉が開いて白川が帰ってきた
表情は先ほどから何も変わっていないようだ
仁王の事もあるし早めに済ませよう