• テキストサイズ

古きパートナー

第3章 大きな過去と小さな現実


白川側

仁王君が目の前まで歩いてきた

仁「俺は今日、ずっとここにおった」

『そうですか』

僕は仁王君の表情が少し心配そうな顔になっているのがわかった

僕は僕の感情を顔に出す事が出来ない

だけど

相手の表情を見て

相手は何を伝えたいのかわかってしまう

しかし、相手がどんな表情をしたって

僕は対処の仕方が全くわからない

僕はいつからこんな人間になってしまったのだろうか?

仁「何か考え事か?」

『なんでもありません』

授業の終わる鐘の音が聞こえた

仁「何か言いたい事があるんじゃないか?」

そう聞いてくるので

前から気になっていた事を

『そう、ですね。強いて言えば、......』

仁「!!」






仁王側

白川から初めて質問を受けた

じゃが

その質問は、俺の目の前の壁を一瞬で砕いた

そして、そのまま本性を知られてしまった

白川の青い目は俺の本性を見ているようで怖くなった

俺から見る白川の目は深く冷たい深海の中にいる気分にさせられた

仁「......」

『......』

沈黙が少し続いた

仁「......お前さんは、一体?」

『柳君からお聞きになったのではないのですか?昨日』

なぜじゃ?

白川の言葉1つ1つがとても重く

そして、とても冷たい

これが恐怖と言うやつなんか

『僕は冷酷で無慈悲な存在だと』

俺は言葉を失った

何を言えばいいのか全くわからんようになった

『やなり、あなたも僕の事が怖いのですね。わかりますよ』

いつの間にかこっちを覗いておった

何を言っとるんじゃ

『僕は自分自身の表情は顔に出せなくても、相手の表情で何を思っているのか理解できます。仁王君の表情はとても怖い顔をしています』

なん、で、わかるんじゃ

仁「......、じゃあ、し返しぜよ」

『?』

仁「お前の感情は、どこにあるんじゃ?いや、どこで失ったんじゃ?」

『!』

......やなり顔には出ん

じゃけど

驚いているように見えてしまう

『......はあ、わかりません』

仁「わからん?」

『はい、全くわかりません』

こいつは何を考えているのか

全く読めん

キィ......

扉が開いた

見ると参謀が来たようじゃ

少し安心してしまった
/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp