第19章 面倒
小さい頃の思い出と言われて何処まで思い出せるのだろうか?
正直僕は誘拐された日からの事を忘れた事がない
だから村の中にこの人がいた事も覚えている
見ていて胸が苦しくなる
あの村が狙われた理由なんてなかった
そして、1番目の村に僕は手を下していない
言ったって信じる訳がないだろう
『はぁ...今週中に来てくれませんかね』
彼女達の暗殺には本当に驚いている
彼女達は基本、僕が1人の時を狙ってきている
他人に迷惑の掛からないように
そこだけは褒めてやりたいが
僕を殺そうとするのはいけない事だね
そしたらそっちも「殺人鬼」になってしまう
あ、すでに殺人鬼か
暗殺者なんだ、何人も殺しているだろう
これ、テニスの話と全く関係ないな
頭を振ってから歩き出し、立海テニス部の元へ向かう
跡「ミクスド大会は誰が出るんだ?」
幸「まだ決めてないよ。普通の大会の事もあるしね」
跡「さっさと決めねえと、息が合わないぜ」
幸「フフ、わかっているよ」
跡「そーかよ。じゃあな」
テニスコートの中で部長同士が会話をしていた
『お疲れ様です』
跡「おー、頑張れよ、氷月ちゃん」
『...知ってたんですね』
跡「幸村から聞いた」
『そうですか』
跡部君は僕の後ろを歩いて行った
幸「跡部と何を話していたんだい?」
『それはこちらの台詞です。僕は出ませんから』
幸「フフフ、残念だな。いいペアだと思っていたのにね」
『......』
幸「ごめんごめん」
持っていた籠を取られて頭を優しく撫でられる
『......』
幸「皆、休憩だ」
静かに幸村君が言えば2人は飛んできた
僕は先程の木陰に戻って座っていた
...ミクスド、男女混合のダブルス
誰かと組むなんて仁王君とアリィ、優真意外とはない
テニスは、やりたい
だけど
公の場に出て良い資格なんてない
それにそれらを知ったら
〈お前なんて死んじまえ!〉
〈なんで学校に来んだよ!〉
〈帰れ!〉
仁「氷月」
『!』
頭の中にあの頃の声が響いていた
仁「そんなに嫌か?」
『何が?』
仁「ミクスドの話じゃ」
『......』
隣に静かに座る彼が優しくて暖かくて輝いている
『仁王君は、光はどう思っていますか?』
仁「!」