第18章 殺伐の春
仁王側
風呂から出てきた氷月が俺の首に腕を回してから倒れた
見れば顔が真っ青で血の気がなかった
腕から少しだけ出る血を見た時に、嫌な予感が横切った
すぐにベットに寝かせて腕の手当てをした後
俺と入れ違いに2匹の子猫が氷月の顔の横で座った
「「ニャー...」」
コイツらも心配なんじゃな
タオルを冷やしに洗面所の引き出しからタオルをだして濡らす
珍しく戸が開いておる風呂場をのぞくと
仁「なんじゃ、これは...」
半分くらいまでしかない風呂の湯が少しだけ赤が混じっておった
まさか、こんなんになるまで湯に浸かっておったんか
貧血って事か
冷やしたタオルを額の上に乗せベットに腰かける
...生きようと決意した新しい春に殺人予告を吹っ掛けられ
新学期が始まって1日目でこの様になっておるなんてな
守ると言った俺が恥ずかしくて死にそうじゃ
『うぅ...』
呻き声が聞こえて氷月の顔を除けば
数回瞬きを繰り返してた
仁「大丈夫か?」
『...、軽い、貧血、かな?』
仁「そうじゃろうな。あんな風呂は初めて見たナリ」
『...え?』
仁「タオルを水で濡らした時に、余っておるのを見たんじゃよ」
『そう言う事ですか...』
何処かホッとしておる氷月の顔色はまだ良くない
子猫は床で寝ておるため、悪いが静かじゃった
仁「あんなんになるまでほかっておいたんか?」
『考え事をしていたらいつの間にかああなっていて』
仁「風呂の中で考えるんじゃなか」
『わかりました』
気になっておった白い腕を見ておった
仁「寝取る間に傷口を消毒したナリ」
『ありがとうございます』
仁「明日は休みんしゃい」
俺が心配じゃから
『わかりました』
仁「じゃから」
『?』
俺はコイツに聞きたい事が沢山ある、じゃから
仁「俺と寝るんじゃ」
『はい?』
氷月の了承を得る前に隣に入り込む
腕を回して俺は氷月を抱きしめた
仁「話がしたいんじゃよ。夜更かししながらな」
『明日の午後でもいいのでは?』
仁「聞きそびれるナリ」
『そうですか』
少しだけ微笑んだのを見た
『と言うか、それが目的で休んでほしいのでは?』
仁「なんじゃ、バレたんか」
『なんとなくです』