第18章 殺伐の春
白川側
始業式が始まる前に教室へ入り込む
今年は2組のようで3階の東側から2つ目の教室
南「氷月と一緒だね」
『そうですね』
柳生「よろしくお願いします」
何時もの特等席に陣取れば今年一緒なのは柳生君と三輝さん
三輝さんには春休みを使って僕の事を話した
泣きはしなかったが自分の事のように痛みを受け入れて貰った
正直、嬉しかったが悲しませたようで心が痛かった
左は窓、右は柳生君、前には三輝さん、後ろはロッカーが立ち並ぶ
廊下から見える大きな桜の木の下で銀髪を纏っていた自分は
そこで一緒の銀髪の男に目を付けられた
あそこが全ての始まりであったのだ
廊下の桜を見ていると2人が顔を見合わせて疑問符を浮かべていた
『ああ、あそこで初めて仁王君に会ったんです。入学式が始まる30分前に』
南「思い出の場所かな?」
『どうでしょうか?そこから始まった事には変わりないので』
柳生「あそこで彼にあったからこそ、今の氷月さんがいるのではないですか?」
『...そうですね』
確かにそうかもしれない
今の僕が存在するのは仁王君が僕を見つけてくれたからだ
始業式が始まる10分前に体育館に移動する
何時ものように廊下を歩いて行くと次々にテニス部と合流する
クラス事に席が分かれるのに
そう思って体育館内へ入りこめば
『!』
突き刺すような視線が僕に向けられている
明らかに敵意が出ている、もはや殺気に近い感覚だ
誰にも悟られないように表面上は何時も通りにし
人混みに紛れて1年生を見る
真新しい制服に身を包んだ新1年生達は隣に座っている人と話している
この場で友達を作っているのか
もしかしたら中学が一緒とか
小学生の時に分かれてしまった友達を話しているのだろう
人が多い体育館の中で僕に敵意を向けるたった2人の人物を見つけ出す事は不可能に終わった
そして、校長先生の長い話を聞き終えた僕らは教室へ戻り
委員会や係などを決めて解散した
昼から始まる部活動まで3時間も時間が残されている
その間に見つければいいが
1年生誰しもが部活動見学にくる可能性は低い
ましてやそこにその人物が紛れている可能性も
柳生「居ましたか?」
『そうですね。人数は把握出来ませんし顔も分かりませんでしたが、居ました』